冬のイルミネーション 実は省エネ効果あり?
早くも今年も年の瀬、まちにクリスマスのイルミネーションの光が煌めく季節になりましたね。
ライトアップされた建物やキラキラと輝く街路樹、それを見に集まる人々を眺めているだけで、息が白くなるような寒さの中でも、心の中にぽっと明かりが灯ったような気分になります。
でも、規模の小さいもので数千、大規模なものでは数百万個の電球を使っているイルミネーション。あんなにたくさんの電球をつけていたらさぞ電気代がかかるのだろうと思う人もいるかもしれません。
そこで、どのくらい電力を使っているのかすこし調べてみると、最近はイルミネーションもLED電球が主流になったこともあり、以前と比べると格段に消費電力が低くなっていることがわかります。
一般的な仕様を参考に、↓このように想定して計算すると…
消費電力:100球あたり6W
点灯時間:6時間/1日(17:00~23:00として)
電力量料金:25円/kWh
100万球の規模で一日当たり360kWh/日、9,000円/日となります。
ちなみに東京駅近辺の丸の内エリアのイルミネーションがおよそ100万球です。
ん?意外と安いのね。と筆者は思うわけですが、個人によって意見は分かれるところかと思います。実際、電気の無駄遣いとの批判の声も存在します。
では本当に浪費なのか。
いろいろな事例を見ていくと、必ずしもそうとは言えないようです。
冬の家庭が電気を使う時間帯は、暖房・入浴・炊事が重なる18時から21時に集中するそうで、この時間帯に人々がイルミネーションを見に出かけると、その間の各世帯のエネルギー消費が減り、全体として省エネにつながるというのです*1。まちに賑わいを創出する効果が高いということで、各自治体等から出る補助金のなかには、イルミネーションや建物のライトアップを対象とする補助金もあります。賑わいの創出が省エネにもつながるなら一石二鳥ですね。
このように、公共施設に人々を集めてエネルギー使用をシェアするしくみは、冬場のイルミネーションだけでなく、例えば夏場に冷房の効いた商業施設や図書館等に人が集まると、各世帯での昼間のピーク時間帯のエネルギー消費が大幅に減って全体では省エネになるように、様々な場面に通じる考え方といえます。
また、使用するエネルギーそのものに地球環境負荷の低い再生可能エネルギーを選択するため、丸の内・大手町・有楽町地区などではグリーン電力証書を購入する取り組みがなされていて、こうした動きは全国に広がろうとしているといいます*2。
もちろん、イルミネーションは設備そのものに大変な費用がかかり、事業として集客効果と比した採算性の問題が別にあるわけですが、エネルギー消費のあり方に限ってみると、一見大量のエネルギーを浪費しているように見えるイルミネーションも、人を集めることで各世帯の省エネを促進し、使用するエネルギーにグリーンなものを選択する、そしてイベントをエコな取り組みとして広く周知する… といったことで、いろいろな省エネやエコの効果をもたらす可能性がありそうです。
クリスマスまであと数日、イルミネーションを見に出かけることがあったら、ちょっとだけ、
家族や友人とエネルギーの使い方にも思いをめぐらせてみるといいな、と思う筆者でした。
<出典>
*1ダイナビスイッチ“目黒川イルミネーションに秘められた2つの事実”
*2日経ビジネス“電気のムダ遣い?イルミネーションも今年は「省エネ」”